ベネフィット・ワン(2412)TOBの体験談|応募せず市場で売却した理由

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突然届いた文書

先週のことなのですが、ポストにやたら分厚い紙が入ったでっかい封筒が届いたなあと思っていたら、「公開買付説明書」と書かれた冊子が届いていました。

冊子は第一生命ホールディングスによるTOBのもので、TOBの条件はベネフィット・ワンの開示「第一生命ホールディングス株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」(2024年2月8日)で確かめられます。

そういえば、株式保有していた「2412:ベネフィット・ワン」がTOBされて、エムスリーと第一生命の2者で争っている、というニュースは見かけていたのを思い出しました。

しかし、最終的にどうなったかまで終えていなかったので、突然この冊子が届き、慌てて関連ニュースを調べました。

TOB(株式公開買付)について

TOBは「株式公開買付け(Take Over Bid)」の略で、会社を買いたい側が、買う値段・期間・株数を公表して、市場を通さずに株主から株を買い集める方法です。株主は、応募するか、市場で売るか、持ち続けるかを選べます。

この件を含めて、保有株は1年8か月で4回TOBの対象になりました。4回分を並べた記録はこちらです:保有株がTOBされたら|4回とも応募せず市場で売った理由

今回のTOB(ベネフィット・ワン)について

今回のTOBは前述の分類からすると、友好的なTOBで、ベネフィット・ワンは親会社としてパソナグループが51.16%の株式を保有しており、その他の48.84%が一般投資家等の少数株主という形になっています。

今回のTOBはパソナグループの保有分を含めて買い付ける、というものです。

  • 買付価格:1株当たり2,173円
  • 買付期間:2024年2月9日~3月11日
  • 買付予定数の下限:発行済株式総数(自己株式を除く)の15.44%
  • 担当証券会社:みずほ証券

第一生命は、健康・医療領域への事業拡大を目指しており、ベネフィット・ワンの持つ企業向け福利厚生事業とのシナジー効果を期待し、今回子会社化を決めました。

一方、ベネフィット・ワンは、経営基盤の強化と事業の継続的な成長を目指し、最終的には第一生命HDとの協業を選択しました。

エムスリーと第一生命の争奪の経過

このTOBは、2社がベネフィット・ワンを取り合う形になりました。会社の開示で日付を追うと、次のとおりです。

日付できごとメモ
2023年11月14日エムスリーがTOBを発表(1株1,600円)。親会社パソナグループの持ち株を買い、連結子会社にする内容前営業日の終値は1,163円
2023年12月7日第一生命HDが、対抗するTOBを行う予定を公表
2023年12月21日第一生命HDが価格を1株2,123円に決定
2024年2月8日第一生命HDが2,173円に引き上げ。ベネフィット・ワンは第一生命HDのTOBに賛同・応募を推奨し、エムスリーへの意見は「留保」に変更。同じ日に、TOB成立を条件に期末配当なし・株主優待の廃止も発表
2024年2月9日〜3月11日第一生命HDのTOB期間
2024年2月29日エムスリーのTOBが終了。応募は51,931株で、下限の81,210,400株に届かず不成立
2024年3月12日第一生命HDのTOBが成立(応募59,329,660株)
2024年5月20日上場廃止
出典:ベネフィット・ワンの適時開示(2024年2月8日「第一生命ホールディングス株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」、同日「エムスリー株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見の変更についてのお知らせ」、3月1日・3月12日の公開買付けの結果、5月17日「当社株式の上場廃止に関するお知らせ」)

最初のエムスリーの1,600円に対して、最終的な第一生命HDの価格は2,173円でした。エムスリーが発表する前の営業日の終値1,163円と比べると、約1.9倍です。後から出てきた買い手が値段を上げ、そちらが成立した、という流れでした。

ベネフィット・ワンTOBへの参加見送り理由

この記事を書いている2月28日時点での株価は2,168.5円なので、TOBに参加するのが一番利益が出るのですが、結論から言うと今回TOBへの応募は見送りました。

その理由は以下のとおりです。

  1. TOBへの参加は担当証券会社(みずほ証券)からのみ可能
  2. TOBへ参加する場合は、保有株式をみずほ証券に移管する必要あり
  3. みずほ証券の口座を保有していないため、TOB参加には口座開設と株式移管の手続きが必要

私が保有していたベネフィット・ワンの株式はSBI証券にあったため、②、③の手間を考慮し、TOBに参加せずに市場で売却して処分する、という選択を取りました。

なお、今回はTOBに応募をせずともスクイーズアウト方式が取られ、自動的に第一生命に保有株が買い上げられるということになるのですが、この場合は以下の条件となっています。
※スクイーズアウトの詳細を知りたい方は、こちらも合わせてご参照ください。
M&A Capital Partners:M&Aにおけるスクイーズアウトとは?

  • 買付価格:1株当たり2,173円
  • 実施時期:2024年4月~5月頃

買付価格はTOB価格と同じなのですが、実施時期が4月~5月頃となっているため、実際に現金となるまで1~2か月程度を要します。

実際に市場で売れた値段は2,169円で、TOB価格の2,173円との差は4円(0.18%)でした。1〜2か月早く現金にするために、1株あたり4円を払った形です。

どうやら、TOBが決まった株式を市場で買い取り、この差額の鞘を抜いている人や会社もいるらしく、確定利益として0.2%が得られるのはそれなりに需要があるらしいです。

TOBの書類が届いて「怪しい」と思ったら

公開買付説明書は、ふだん使っている証券会社ではなく、買う側が指定した担当の証券会社(今回はみずほ証券)から郵送で届きます。心当たりのない会社から分厚い封筒が届くので、怪しく見えても不思議ではありません。私は郵送で届いた書面の中身をざっと確認しました。

本物かどうかは、次の公開情報で確かめられます。

  • 会社の適時開示:TOBの対象になった会社は、賛成か反対かを「意見表明」として公表します。会社のIRページや、日本取引所グループの適時開示で見られます
  • 公開買付届出書:買う側が金融庁に出す書類で、EDINET(金融庁の開示システム)で誰でも読めます。今回の第一生命HDは2024年2月9日に提出していました
  • 担当の証券会社:応募の窓口になる証券会社は、公開買付届出書に「公開買付代理人」として書かれています。届いた書類の差出人と一致するかを見ます

公開買付届出書には買付価格・期間・公開買付代理人が書かれているので、届いた冊子の数字と見比べれば確かめられます。

TOBへの3つの選択肢比較

3つの選択肢を整理すると、価格・タイミング・手間のトレードオフが明確になります。私のように担当証券会社の口座を持っていない場合、「②市場売却」と「③スクイーズアウト」の比較が中心になります。価格差0.2%を取りに行くか、現金化のスピードを取るか、という判断です。

選択肢受取額入金タイミング必要な手続き向いている人
①TOB応募TOB価格(2,173円)公開買付終了後担当証券会社に口座開設+株式移管担当証券会社の口座保有者
②市場売却市場価格(執筆時2,168.5円)売却2営業日後通常の売却注文すぐ現金化したい/手続きを増やしたくない人
③スクイーズアウト(放置)TOB価格(2,173円)TOB完了後1〜2ヶ月不要(自動)何もしたくない/確実にTOB価格で売りたい人

TOBが届いたときの判断フロー

今後別の銘柄でTOBに遭遇したときに迷わないよう、判断フローをまとめます。

Step 1:TOB価格と市場価格の差を確認

  • TOB価格 > 市場価格 → 何らかの形でTOB価格で売るのが有利 → Step 2へ
  • TOB価格 ≦ 市場価格 → 市場売却 or 保有継続を検討

Step 2:担当証券会社の口座を持っているか確認

  • 持っている → ①TOB応募が最有利(手数料も抑えられる)
  • 持っていない → Step 3へ

Step 3:現金化のスピードと差額を比較

  • すぐ現金が必要 → ②市場売却(差額を「時間を買う手数料」と割り切る)
  • 数ヶ月待てる → ③スクイーズアウト放置(自動でTOB価格に統一)

TOB完了後の続報

今回のベネフィット・ワンのTOBは成立しました。応募は59,329,660株で、発行済株式総数(自己株式を除く)の37.38%でした。成立の下限としていた15.44%を上回っています。その後スクイーズアウトが実施され、2024年5月20日に上場廃止となりました(整理銘柄への指定は4月26日〜5月19日、最終売買日は5月17日)。現在は第一生命グループの子会社として、福利厚生事業・健康ヘルスケア領域でのシナジー創出を進めています。

ベネフィット・ワン売却によるサービス業セクター比率の変動については、2024年2月の高配当株実績記事で詳しく解説しています。

株主優待(ベネフィット・ステーション)はどうなったか

ベネフィット・ワンの株主優待は、福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」を使えるものでした。私は宿泊、レジャー、レンタカーなどで使っていました。

この優待は、2024年2月8日の開示で、TOBが成立することを条件に廃止が決まりました。同じ開示で、2024年3月期の期末配当も出さないことになっています。上場廃止とあわせて、株を持つことで使える道はなくなりました。

いまは、同じように株主優待で福利厚生サービスを使えるリログループ(クラブオフ)を持ち続けています。リログループ(8876)の配当と株主優待|14年で配当6.5円→69円、優待は何が変わったか

今回の学び

保有している株式がTOBになるというのは人生初めての出来事だったので、ニュースとかで見たことはあったけど、実際自分の身に起こるとこういう対応をしなきゃいけないんだなあと非常に勉強になった一件でした。

振り返ってみると、今回の経験から得た学びは以下の3点です。

  1. TOB通知は突然郵送で届く:株主名簿に登録されているSBI証券経由ではなく、買付側の担当証券会社(みずほ証券)から直接届く点に注意
  2. どの選択肢でも最終的に売れる:応募/市場売却/スクイーズアウトのいずれかで、保有株が宙に浮くことはない
  3. 判断軸は「価格差」と「現金化スピード」の2軸:難しく考えず、この2軸で十分判断できる

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大学生の頃に金融投資を知り、社会人になるタイミングで金融投資を始める。インデックス投資を中心に資産を拡大していき、2023年に高配当株投資とFIREを知り、それをきっかけにFIREを目指すべく高配当株投資を始める。 2024年には月平均5万円の配当金を受け取れるようになり、さらなる配当金の増加に向けて尽力中。
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