東京センチュリー(8439)|優待が廃止された1年後、配当は62円→80円になった
高配当株を51銘柄持っていますが、その中で株主優待が廃止された銘柄があります。東京センチュリー(8439)です。
優待の廃止と聞くと悪い話に思えますが、この銘柄で実際に起きたのは逆でした。廃止と同じ日に増配が発表され、その後も配当は増え続けています。買ったときに年52円だった配当は、いま80円です。
ただ、この会社はずっと順調だったわけではありません。配当が2年止まった時期があり、その原因はロシアでした。2年3か月持った記録として、開示資料で確かめた数字を並べます。
この記事の要点
- 2024年6月に1,461円で購入。当時の予想配当は58円で、取得単価に対して3.97%だった
- 2025年5月14日に株主優待が廃止。同じ開示で期末配当を予想の29円から33円へ増配している
- 年間配当は52円(2024年3月期)→62円→80円。2027年3月期は90円の予想
- 取得単価に対する利回りは3.97%→5.48%(実績80円)。予想90円なら6.16%
- 配当は2022年・2023年3月期の2年間、35.75円で止まっていた。ロシアの航空会社向け資産で合計700億円規模の損失を出した時期にあたる
- 直近の2026年3月期は701億円の減損を計上しながら、最終利益1,113億円で過去最高
- 結論:優待が廃止されたあとも持ち続けています
買った時のこと|株式分割の半年後に1,461円で買った
買ったのは2024年6月、株価は1,461円でした。当時の年間配当予想は58円で、取得単価に対して3.97%です。
その半年前、2024年1月1日に1株が4株になる株式分割がありました。会社は開示で、新しいNISAの開始を踏まえて「投資単位あたりの金額を引き下げて、より投資しやすい環境を整備する」ためと説明しています。分割の直前(2023年12月29日)の終値は、いまの基準に直すと1,527円。実際の取引値は6,000円台でした。買いやすくなった直後に買ったことになります。
この記事で使う1株配当は、すべてこの分割を反映した数字です。分割前の配当と並べると4倍の差が出てしまうため、過去の金額も4分の1に直してそろえています。
優待の中身|QUOカードとレンタカーの優待券だった
廃止される前の優待は、毎年3月末の株主に対して次の内容でした(分割後の株数で表記)。
| 所有株式数 | 優待の内容 |
|---|---|
| 400株以上 | オリジナルQUOカード2,000円分 |
| 4,000株以上 | 同4,000円分(2年以上の保有で6,000円分) |
| 12,000株以上 | 同6,000円分(2年以上の保有で8,000円分) |
| 共通 | ニッポンレンタカーのご利用優待券 3,000円分1枚 |
※2023年11月10日「株式分割ならびに株式分割に伴う定款の一部変更、配当予想の修正および分割比率に基づく株主優待品贈呈基準の修正に関するお知らせ」より
ニッポンレンタカーは東京センチュリーのグループ会社です。優待の内容が自社グループのサービスとQUOカードで、金額としては小さいものでした。
【2025年5月14日発表】優待の廃止と増配が、同じ紙に書かれていた
開示のタイトルは「剰余金の配当(増配)及び株主優待制度の廃止に関するお知らせ」です。1つの開示に、次の2つが並んで書かれていました。
- 2025年3月期の期末配当を、予想の29円から33円へ4円増配(年間62円。前期から10円の増配)
- 株主優待制度は2025年3月末の贈呈をもって廃止
廃止の理由も書かれています。「株主の平等性確保の観点から」公平な利益還元のあり方を検討した結果、優待は廃止して今後は配当等による利益還元に集約する、という説明です。
同じ開示の中で、株主還元の方針についてもこう書いています。「累進配当を基本としつつ、利益成長による増配を目指してまいります」。累進配当とは、配当を減らさず、維持か増配のどちらかにするという方針のことです。
優待は株数に比例しないので、たくさん持っている株主ほど不利になります。会社が「平等性」という言葉を使ったのは、そこを整理したかったからだと読めます。
配当はどう増えてきたか|8円から80円へ

2010年3月期の8円から、2026年3月期は80円です。17期で10倍になっています。
特に増え方が変わったのは、私が買ったあとの3期です。
| 決算期 | 年間配当 | 取得単価1,461円に対する利回り |
|---|---|---|
| 2024年3月期 | 52円 | 3.56% |
| 2025年3月期 | 62円 | 4.24% |
| 2026年3月期 | 80円 | 5.48% |
| 2027年3月期(予想) | 90円 | 6.16% |
2026年3月期の80円は、期の途中で2回引き上げられた結果です。当初の予想は年68円でした。2025年11月7日に中間配当を34円から36円へ増配し、期末予想も36円として年72円に。さらに2026年5月11日、期末配当を予想の36円から44円へ8円増配して年80円になりました。
配当が2年止まった時期がある|ロシアの航空会社向け資産
グラフをよく見ると、2022年3月期と2023年3月期は35.75円で止まっています。それまで毎年増えていたので、ここだけ動きが違います。
この時期に何があったかは、開示に残っています。
2022年4月18日、会社は米国の子会社Aviation Capital Group(航空機リース)がロシアの航空会社向けに約6億ドルのエクスポージャーを持っていると開示しました。内訳はリース機体8機が約3.8億ドル、融資・融資保証が約2.2億ドルです。
その後の処理は2段階でした。
| 時期 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 2023年3月期 第1四半期 | リース機体8機の帳簿価額を全額減損 | 約444億円 |
| 2023年3月期 第3四半期 | 融資・融資保証の全額を引当 | 約283億円 |
※2023年1月10日「2023年3月期における特別損失の計上および業績予想の修正に関するお知らせ」より。円換算のレートは開示に記載のもの
機体の返還が見込めず、融資についても「ロシア国外への移送手続きが滞り」回収の見通しが立たない、というのが会社の説明です。
ただし、この話には続きがあります。2025年11月7日の開示で、会社は業績予想を930億円から1,000億円へ上方修正しました。その理由が「ロシアの航空会社向けにリースしていた機体等を対象とする保険会社との訴訟において保険和解金の合意に至り、その受領金額が期初予想を上回った」ことです。損失を出した資産に保険が掛かっていて、訴訟を経てその一部が戻ってきていました。

2023年3月期の最終利益は48億円です。前の期が503億円なので、10分の1以下になりました。それでも配当は減らさず35.75円を維持しています。この2年が、グラフで配当が横ばいになっている部分です。
私が買ったのは、この損失を出し切って利益が戻ったあとの2024年6月でした。
701億円の減損を出した年に、過去最高益だった
直近でも大きな損失が出ています。2026年4月6日、会社はバイオマス混焼発電事業で701億円の減損損失を計上すると開示しました。事業環境を踏まえて計画を見直した結果、当初見込んだ収益が得られなくなったためです。
開示にはもう一つ書かれていました。700億円の損失を出しながら、通期の最終利益予想1,000億円を据え置いています。理由は「各セグメントにおける資産売却益の計上等が当初計画を上振れて進捗する」ため、と書かれていました。
結果はその予想も超えました。2026年3月期の最終利益は1,113億円で過去最高です。同じ日(2026年5月11日)に期末配当の8円増配も決まりました。
ロシアのときと合わせると、この会社では4年間で2回、数百億円規模の損失が出ています。リース会社は他人に資産を貸す商売なので、その資産の価値が落ちたときに一度に損失が出ます。ただし今回は、それを吸収できる利益の規模になっていました。
取得単価に対する利回りは3.97%から5.48%になった
ここまでの結果を、自分の取得単価で見るとこうなります。
| 買ったとき(2024年6月) | いま(2026年9月18日) | |
|---|---|---|
| 株価 | 1,461円 | 2,671円 |
| 年間配当 | 58円(当時の予想) | 80円(2026年3月期の実績) |
| 取得単価に対する利回り | 3.97% | 5.48% |
| いまの株価に対する利回り | — | 3.00% |
株価は+82.8%です。優待の制度はなくなりましたが、受け取る配当は2年3か月で1.5倍になりました。
優待の中身はQUOカード2,000円分とレンタカーの優待券で、金額としては配当の増え方のほうがはるかに大きくなっています。優待の廃止が、株主にとって必ずしも損になるとは限らないという例です。
いま購入を検討する人へ
ここまでの5.48%は私の取得単価に対する利回りで、これから買う人の利回りではありません。2026年9月18日の株価2,671円で計算すると、実績配当80円で3.00%、会社予想の90円なら3.37%です。
判断材料になりそうな点を3つ挙げます。
- 優待はもうない。2025年3月末で廃止済みなので、いま買って受け取れるのは配当だけ
- 会社は累進配当を基本方針に掲げ、配当性向は35%程度を目安としている(2025年11月7日の開示)。ただし方針であって約束ではない
- 数百億円の損失が4年で2回出ている。航空機や発電設備など、価値が大きく動く資産を持つ会社であることは織り込んでおいたほうがいい
結論|優待が廃止されたあとも持ち続けています
優待が廃止されたあとも、この銘柄は売っていません。廃止と同じ開示で増配が発表され、そのあとも配当は増えているためです。
結果として、そのあと配当は62円から80円になり、今期は90円の予想です。優待の代わりに配当で返すという会社の説明は、いまのところそのとおりに実行されています。
まとめ
東京センチュリー(8439)は、2025年5月に株主優待を廃止した会社です。ただし同じ開示で増配も発表し、そのあとも配当を増やしています。2024年6月に1,461円で買った私の取得単価では、利回りは3.97%から5.48%になりました。
一方で、ロシアの航空会社向け資産で約727億円、バイオマス混焼発電事業で701億円と、数百億円規模の損失を4年で2回出しています。それでも配当を減らさなかったこと、直近は損失を吸収して過去最高益になったことが、この銘柄を持ち続けている理由です。
※記載の数値は2026年9月18日時点。配当・業績は東京センチュリーの適時開示(TDnet)とIRBANK、株価はIRBANKの日足終値によります。1株配当は2024年1月1日の株式分割(1株→4株)を反映した数字です。
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