減配されたら売るべきか|39件を追ったら7割は元に戻った
2024年3月にジャックス(8584)を買った直後、会社が配当予想を引き下げました。高配当だと思って買ったのに、いきなり減配です。
このとき本気で迷いました。売るべきなのか、待つべきなのか。調べても「減配は売りのサイン」と「気にせず持ち続けよう」の両方が出てきて、どちらも根拠がはっきりしません。
それなら自分で数えようと思い、いま持っている51銘柄の配当を、さかのぼれるところまで全部さかのぼりました。結果、減配は39件見つかりました。そのうち何件が元に戻ったのか、という記録です。
この記事の要点
- 51銘柄をさかのぼると、減配は39件。27銘柄(全体の53%)が一度は減配していた
- そのうち74%(29件)は元の配当水準に戻った
- 戻るまでにかかった年数は中央値2年。14件は1年で戻っている
- 戻らなかったのは10件。共通しているのは「一時的な落ち込みではなかった」こと
- 私が保有中に経験した減配はビックカメラ・リログループ・アマダ・ジャックスなど。前の3つはすでに減配前を超えた
- 結論:減配だけを理由にはすぐ売らない。ただし減配の理由が構造的なら別
51銘柄をさかのぼったら、減配は39件あった

27銘柄(51銘柄の53%)が、一度は減配を経験していました。つまり高配当株を50銘柄も持てば、半分は途中で配当を減らすということです。
2011年(6件)と2021年(7件)に山があります。前者は東日本大震災の影響が出た期、後者はコロナです。大きな出来事があると、まとめて減配が起きるという形がはっきり出ています。
逆に言えば、それ以外の年も毎年1〜4件は起きています。減配は特別なことではありません。
数え方
あとから検証できるように、数え方を書いておきます。
- 対象は2026年8月時点で保有している51銘柄。過去に売った銘柄は含めていません
- 出典はIRBANKの配当実績。株式分割を調整した後の金額で比べています
- 「前の期より年間配当が減った」ものを1件として数えました。会社予想ではなく実績です
- 次の2つは除外しました:①ソフトバンク(9434)の2019年3月期以前(上場は2018年12月で、それ以前は親会社向けの配当)②東急不動産HD(3289)の2014年3月期(経営統合初年度の変則決算)
そして74%は、元の配当に戻っていた

| 戻るまでの年数 | 件数 |
|---|---|
| 1年 | 14件 |
| 2年 | 6件 |
| 3年 | 4件 |
| 4年 | 3件 |
| 5年 | 2件 |
| まだ戻っていない | 10件 |
39件のうち29件(74%)が、減配前の水準まで戻っていました。しかも14件は翌期にはもう戻っています。
中央値は2年です。減配された次の期か、その次の期には戻っている、というのが多数派でした。
この数字を先に知っていたら、ジャックスのときにあれほど迷わなかったと思います。減配は多くの場合、一時的なものでした。
戻らなかった10件には、共通点があった
とはいえ、4件に1件は戻っていません。中身を見ます。
| 決算期 | 銘柄 | 減配 | いま |
|---|---|---|---|
| 2016年3月期 | アトム(7412) | 5円 → 2円 | 0円 |
| 2017年3月期 | 日本航空(9201) | 120円 → 94円 | 96円 |
| 2020年3月期 | 日本航空(9201) | 110円 → 55円 | 96円 |
| 2020年3月期 | ANAホールディングス(9202) | 75円 → 0円 | 65円 |
| 2021年3月期 | サンマルクHD(3395) | 62円 → 44円 | 52円 |
| 2022年3月期 | アトム(7412) | 2円 → 0円 | 0円 |
| 2023年3月期 | JFLA HD(3069) | 4円 → 0円 | 0円 |
| 2023年3月期 | デンカ(4061) | 145円 → 100円 | 100円 |
| 2024年3月期 | 蔵王産業(9986) | 109円 → 100円 | 105円 |
| 2025年3月期 | ジャックス(8584) | 220円 → 190円 | 200円 |
見ていくと、3つのタイプに分かれます。
- ①まだ途中のもの:ジャックス(2025年)、蔵王産業(2024年)、デンカ(2023年)。減配から日が浅く、これから戻る可能性があります
- ②水準そのものが変わったもの:日本航空、ANA。コロナで一度ゼロになり、いまは戻していますが、減配前の水準にはまだ届いていません
- ③業績が回復していないもの:アトム、JFLA HD。この2つは配当がゼロのままです
つまり「戻らない」と「まだ戻っていない」は違うということです。判断を分けるのは、経過した年数と、業績が回復しているかどうかでした。
私が保有中に経験した減配
39件のうち、いま持っている銘柄で起きたものを並べます。下の2件(アマダ・サンマルクHD)は、私が買う前の減配です。
| 決算期 | 銘柄 | 減配 | その後 |
|---|---|---|---|
| 2020年8月期 | ビックカメラ(3048) | 20円 → 13円 | 4年で回復。いま41円(減配前の2倍) |
| 2021年3月期 | リログループ(8876) | 29円 → 19円 | 1年で回復。いま69円 |
| 2021年3月期 | アマダ(6113) | 48円 → 30円 | 2年で回復。いま62円 |
| 2021年3月期 | サンマルクHD(3395) | 62円 → 44円 | いま52円。まだ戻っていない |
| 2022年3月期 | アトム(7412) | 2円 → 0円 | ゼロのまま |
| 2023年3月期 | JFLA HD(3069) | 4円 → 0円 | ゼロのまま |
| 2025年3月期 | ジャックス(8584) | 220円 → 190円 | いま200円。回復の途中 |
※アマダとサンマルクHDは、減配のあとに購入した銘柄です
ビックカメラ|4年待ったら2倍になった
コロナで20円から13円に減りました。当時は残念でしたが、売っていません。その後2024年8月期に33円、2025年8月期に41円と、減配前の2倍を超えました。
4年かかりましたが、待った意味はありました。経緯はビックカメラ(3048)の株主優待|12年保有で配当が4倍になった記録に書いています。
ジャックス|迷った銘柄はいまどうなったか
この記事を書くきっかけになった銘柄です。2024年3月に買って、その期の配当は220円。翌2025年3月期に190円へ減配されました。
そして2026年3月期は200円まで戻っています。まだ220円には届きませんが、減っただけで終わってはいません。
このときの判断はジャックス(8584)で-33%|高配当だと思って買った株が下がり続けた理由に書きました。株価は下がったままですが、配当は戻りつつあります。
コロナのときは何が起きたか
2020年から2022年にかけて、減配は12件ありました。
そのうち8件(67%)が回復済みで、平均1.9年で戻っています。航空2社のように水準が変わったものもありますが、大半は数年で元に戻りました。
もしあのとき「減配されたから」という理由だけで売っていたら、その後の回復を受け取れませんでした。いちばん下がったところで手放すことになったはずです。
減配されたとき、私が見るようになった3つ
39件を数えたあと、自分の中で見るポイントが決まりました。
- ① 減配の理由が一時的か、構造的か。コロナや災害のような外の要因なら戻りやすい。事業そのものが縮んでいるなら戻りにくい。アトムとJFLA HDが戻らないのは後者だからです
- ② 減配前に無理をしていなかったか。それまでの配当性向が高すぎた場合、減配は「正常化」であって悪い話とは限りません。サンマルクHDは減配前の配当性向が88.9%でした
- ③ 配当以外に持つ理由があるか。優待が続いているなら、配当が止まっても持ち続けられます。JFLA HDは配当も優待も消えたので、この支えもなくなりました
逆に見なくなったのは株価です。減配の発表で株価は下がりますが、配当が戻るかどうかは株価ではなく業績が決めます。
結論|減配だけを理由にはすぐ売らない
39件を数えて出た答えは、減配されてもすぐには売らない、です。
理由は単純で、74%は戻るからです。中央値2年、14件は1年で戻っています。減配の発表直後に売ると、いちばん安いところで手放すことになりやすい。
ただし「持ち続ける」と「放っておく」は違います。減配から2〜3年たっても業績が戻っていないなら、それは一時的なものではなかった、ということです。私はそこで考え直すようにしています。
アトムとJFLA HDは、まさにその状態です。それでも売っていないのは、この2つはもともと優待目的で買った銘柄で、配当以外の判断軸があるからです。
まとめ
買った直後に減配され、売るべきか迷ったので、保有51銘柄の配当をさかのぼって数えました。減配は39件、27銘柄。そのうち74%は元に戻り、中央値は2年でした。
この数字を知る前と後とで、減配のニュースの見え方が変わりました。以前は「持っている株が減配」と聞くだけで動揺していましたが、いまはまず理由を見て、一時的かどうかを考えるようになりました。
高配当株を50銘柄も持てば、半分は途中で減配します。減配は避けるものではなく、起きる前提で付き合うものというのが、13年ぶんの数字を見ての結論です。
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※件数はIRBANKに掲載された各社の配当実績をもとに筆者が集計したもので、集計方法によって数は変わります。記載の数値は2026年8月時点のものです。
